■平成16年度日本人間工学会 アーゴデザイン部会シンポジウム
「ユビキタス社会でユニバーサルデザインはどう変わるか?」

 
日時: 2004/12/11 15:00 - 17:02
場所: 大阪市立大学 杉本キャンパス
主催: 日本人間工学会アーゴデザイン部会
共催: 日本人間工学会関西支部
参加者: 30〜40名(シンポジウム中変動あり)
担当幹事: 新家(司会)
 


シンポジストおよび発表タイトル

「ユビキタスはユニバーサル?」
武蔵工業大学 教授 森博彦氏
「ユビキタス時代におけるインタラクションのユニバーサリティ」
株式会社ソフトディバイス 代表取締役 高橋賢一氏
「ユビキタス時代のインタフェースに向けた情報処理技術」
松下電器産業株式会社 知能情報技術研究所 所長 丸野進氏
「ユビキタスネットワーク対応製品の開発におけるユニバーサルデザイン実践ガイドラインの活用」
倉敷芸術科学大学 助教授 柳田宏治氏
 



概要

本テーマでのシンポジウムは4回目を迎えた。今回は過去の討論を発展させるため、ユビキタス及びユニバーサルデザインの分野より四名の専門家をシンポジストとしてお招 きした。

 武蔵工業大学の森教授にはユビキタスについての全体概要をご講演いただいた。
「ユビキタス」の語の持つ本来の意味とその使われ方の変遷について説明された。また、ご自身の研究の説明をしていただいた。
また、Disability(いわゆる障害)について、障害者においては、障害を補うため他の感覚が健常者以上に発達する。このため、健常者の感覚で安易に設計してはならないと警鐘を鳴らされた。
 株式会社ソフトディバイスの高橋社長にはインタラクションについてご講演いただいた。
インタフェースについて、ユニバーサリティを実現するためには、パーソナライズ(個人最適化)されるインタフェースであること、ポータブル(状況や端末に依存しない)なインタフェースであること、フレキシブル(状況の変化に対応して最適化される)なインタフェースであることが必要であるとされた。
 松下電器産業株式会社 知能情報技術研究所の丸野進所長にはユビキタス社会のインフラについてご講演いただいた。
増大し続けるコンテンツに対する検索・選択技術(インタフェース)はどうあるべきかという命題について、主に音声による解決策を示された。また「ヒト」と「環境」の関係にさらに明示的に「発達システム」という概念を加えた「トライフェース」という概念をご紹介いただいた。
 倉敷科学芸術大学の柳田助教授には、当部会が中心となって出版した書籍「ユニバーサルデザイン実践ガイドライン」について、ユビキタス社会に対応しようとする場合に本ガイドラインにどのような項目を加えればよいかについてご講演いただいた。ユビキタス社会になると要求事項の抽出がより困難になることなど、今後の課題についても言及された。
その後、司会者からの質問として各氏に数件の質問を投げかけ、回答を頂いた。
各氏の「インタラクション」「タスク」「目的」についての微妙なスタンスの違いが垣間見えたように感じた。
フロアからは、これまでの社会での製品に対する関係者はユーザとメーカーの二者であったが、これからのユビキタス社会では登場人物がユーザとメーカーだけでなく、たとえば携帯電話におけるキャリアや、製品を悪用しようとする犯罪者なども関係してくること。その例として著作権の問題やセキュリティの問題があることの指摘があった。
(文責:新家)


 
▲発表風景 ▲シンポジスト
(左より)柳田さん、高橋さん、森さん、丸野さん
 



参考: 関西支部大会参加者は191名とのこと







平成16年 日本人間工学会アーゴデザイン部会 見学会開催


場所:(株)富士通ソリューションスクエア
開催日時:2004年11月15日(月) 午後2:00〜 
参加人数:26名

  <講演会>
  講演:「富士通のUD活動紹介」
     (総合デザインセンター長 加藤公敬様)
  講演:「SEのワークスタイルとソリューションスクエアについて」
     (総合デザインセンター ソリューションデザイン部長 垣内良規様)
  <見学会>
  ソリューションスクエア見学
  <懇親会>


▲見学会の様子
概要

見学させていただいたオフィスは2003年ニューオフィス情報賞を受賞しており,IT関連企業としての面目躍如といったオフィスであった。このオフィスは,分散していた人員をひとつの場所に集約し,新たな価値を生み出すことのできる統合オフィスを目標として計画実施された。IT関連企業の強みを生かしたナレッジの共有化を達成し,かつユーザーとなるワーカーへの優しい心配りを持ったオフィスであった。
4000人のSEが集まっているため,ワークスタイルやスペースコストを考慮し,ノンテリトリアルオフィスを導入している。また,セキュリティにも十分配慮をしていることが伺われた。

また,見学会に先立ち,富士通総合デザインセンター長加藤公敬様から「富士通のUD活動紹介」と題して講演をしていただき,同社のUDについての考え方,製品実例等紹介をしていただいた。また,富士通総合デザインセンターソリューションデザイン部長垣内良規様からは「SEのワークスタイルとソリューションについて」と題して講演をしていただき,当該オフィスを計画するために必要となったSE(システムエンジニア)のワークスタイルや仕事の内容を中心に,それらをもとにした立案されたコンセプト,ゾーニング計画,環境問題への対応等を詳しく説明していただいた。
説明を受けた以外にも,さまざまな取り組みがあるように思われ,別な機会に見学してみたくなるオフィスであった。

なお,見学会後に懇親会も開催し,会員と(株)富士通総合デザインセンターの相互交流が図れ,楽しいひと時をもてたと思う。
最後に,いろいろお世話になった(株)富士通総合デザインセンターの皆さんに深謝したい。
(記:小山高専 白石光昭)





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■平成16年度日本人間工学会 アーゴデザイン部会主催

コンセプト事例発表会を開催

毎年恒例のコンセプト事例発表会を下記要領にて開催しました。
今回はゲスト講演はありませんでしたが、若い会員の方の発表も多く、午前から夕方まですべて発表の時間とさせていただきました。
また懇親会では新しい取り組みとしてポスターセッションを行い、有意義な時間を持つことができました。

▲発表風景 ▲懇親会風景

日時:2004年8月6日(金)
場所:文京シビックホール


プログラム

10:20〜10:30部会長挨拶 堀野 定雄
研究発表 司会:鞆 幾也

タイトル:

「システム的な思考方法」を使ったユニバーサルデザインの実現方法

サブタイトル: 事例:Ud&Eco style  −momotaro−
名前(所属): 坂巻裕一(株式会社イトーキ)
要旨: 本研究は、ユニバーサルデザイン(Ud)を、「社会のUd」(スーパーシステム)/「場のUd」(システム)/「製品のUd」(サブシステム)という「『階層構造』と『創発特性』をもつ全体に、『コミュニケーションとコントロール』のプロセス(ユニバーサルデザイン指向)が備わっているシステム」と見なし、システム的な思考方法を使い、人々の多様性に対応することによって、デザインの理念であると考えたユニバーサルデザインを実現する具体的な方向を定めようとするものである。


タイトル: 実験に基づく人間工学的検討のユーザビリティデザイン現場への適応
名前(所属): 斉藤聡介(ヒューマンファクター株式会社)
要旨:  


タイトル: UCD活動の事例
サブタイトル: −Webサイトの構築に置ける、コンセプト事例−
名前(所属): 嶋久志、山崎和彦 (日本IBM株式会社)
要旨:  


タイトル: ユーザーセンタードデザインの展開
名前(所属): 山崎和彦 (日本IBM株式会社)
要旨: 本研究は感性や感情という側面より,人間中心に設計するアプローチを提案することを目的とする。
インタラクティブな製品やシステムに対して,より使いやすくするために人間中心の設計手法としてユーザーセンタード・デザイン(UCD)というアプローチが導入されている。また,コミュニケーションも主に機能に基づいている場合が多い。しかし,人間は機能だけで判断するのではなく,感性や感情によっても判断する。たとえば,使いにくいけど愛着のある製品,使っていて楽しいソフトウエア,わくわくするWebサイトなど,使いやすさという視点だけではユーザーを満足することはできない。
UCDを基本に展開することのできるアプローチとしては,いろいろなユーザーのためのユニバーサルデザイン,きもちや感性を考慮して魅力的な商品やサービスにするスマイルデザイン,ユーザーと企業の個性を考慮したブランドデザイン,そしてそれらの総合的な体験を考慮するユーザーエクスペリエンス・デザインなどが考えられる。
ここでは,その中でもきもちや感性を考慮して魅力的な商品やサービスにするスマイルデザインにフォーカスして,どのようにスマイルデザインにアプローチするのか紹介する。


タイトル: アイコンの認知過程に関する考察
名前(所属): 山ア聡、小俣貴宣 (キヤノン株式会社)
要旨: 本研究は「ユーザのアイコンに対する視点」に焦点を当て、アイコンの認知過程 についての検討を行なうことを目的としている 。
はじめに、ユーザがアイコンを 理解する上でどのような視点を持っているか調べ、アイコン理解の手がかりとな る要因を抽出した。
次に、それらの要因がアイコンの適切さを説明する上でどの ような働きをしているか調べた。以上の結果から、アイコンの認知過程に関する考察を行なった。


タイトル: RFIDを用いたUI実装型モックアップとそのユーザビリティ評価への応用(第一報)
名前(所属): 田彰一、大島康彰、城間祥之(札幌市立高等専門学校) 堀内聡、金井理、岸浪建史 (北海道大学)
要旨: ユーザビリティの必要性は今後高まる傾向にあるが,メーカーの開発時間は縮小されていく傾向にあり,開発初期にユーザビリティを正確に検証しておく必要がある.これまではデザインと機能を検証するモックアップが分離しており,ユーザビリティの検証には不向きであった.RFIDタグをデザインモックアップに貼付し,アンテナを手につけ,そこから機器を制御することによりデザインモックアップでもユーザビリティの正確な検証ができるシステムを開発した。


タイトル: 手と道具デザインの考察
名前(所属): 犬飼拓哉、山岡俊樹 (和歌山大学)
要旨:  


タイトル: Cognitive Work Analysisを活用した組織分析
サブタイトル: −大学の一研究室を対象とした事例−
名前(所属): 堀田陽祐、森亮太、岡田衛、山岡俊樹 (和歌山大学)
要旨: 「システムと人間の認知作業を分析する手法」であるCognitive Work Analysisが、人的組織の分析に用いることができるかどうか探った。分析対象は国立大学法人の一研究室であった。分析の結果、対象研究室の教授のタスクが一部達成されていないことが分かり、そのタスクを学生に割り当てることで解決した。より適切な組織分析を行うには、人の内的要因を考慮する仕組みが分析に必要であると考察された。


タイトル: 鉄道駅のUD調査---京都駅他
名前(所属): 山岡俊樹 (和歌山大学)
要旨:  


タイトル: CHI2004 参加報告
サブタイトル: 〜未来を目指した開発に着目して〜
名前(所属): 伊藤泰久 (株式会社ユー・アイズ・ノーバス)
要旨:  


タイトル: タッチパネル式自動券売機のUCD事例
名前(所属): 鞆幾也 (株式会社ジー・テック・ノーバス)
要旨:

1999年に開発をスタートして2003年に製品化に至るまでの開発事例紹介。
ISO13407の開発ステップに極力準拠する形で進められた。
トータル3回にも及ぶユーザーテストを実施。
コイン投入口の改善、大きく視認性の高い金額ボタン、弱視者、色覚障害者への配慮した形の変化する変化する金額ボタン、全盲の方への手探り操作にやさしいラウンド形状等の要求仕様を取りまとめた。
その結果、ユーザビリティ、ユニバーサルデザイン重視の仕様が認められ、首都圏の主要鉄道会社5社への導入が決定し、現在各駅への設置がすすんでいる。


タイトル: 身にも心にも優しいマウス
名前(所属): ムシュタグ シャーディ (神奈川大学)
要旨:  


タイトル: 製品UD化と街づくりUD化:歴史都市鎌倉UD化を例に
名前(所属): 堀野定雄 (神奈川大学) 小木和孝 (労働科学研究所)
要旨:  


タイトル: 「通常有すべき安全性(PL法)」から見た道路交通行政による交通システム設計の欠陥事例
サブタイトル: −交差点出合頭事故事例4M分析と再発防止対策−
名前(所属): 北島創 (武蔵工業大学大学院)
要旨:  


ポスターセッション
タイトル: 室内用水琴窟・「水咲(すいしょう)」
名前(所属): 尾崎水耶(B&S ps 佇まいネット)
要旨:  
 



タイトル: in-situ
名前(所属): 新家敦(株式会社島津製作所)
要旨:  
 



▲会場からの風景 ▲東京ドームが真下に見えます。





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■2004年度合宿研究会報告


実施テーマ:「ユビキタス社会におけるユーザビリティ」
ユビキタス環境の到来による人間中心設計のあり方を問う

集合写真
合宿風景

日  時:
2004年3月5日(金) 6日(土)
場  所:
湘南国際村センター
共  催:
今回は初めての試みとして、アーゴデザイン部会と情報社会人間工学研究部会との共同開催で行われ、両部会の交流を含めて内容的には充実したものとなった。また参加者の会員の割合が80%となり、本来の合宿研究会の役割を果たすことができた。
参加者:
48名:アーゴデザイン部会38名 (会員29名 非会員3名 学生6名)
情報社会人間工学研究部会8名
講師2名(両部会員以外の講師)
担当幹事: 尾上晏義  早川誠二  高橋克実


一昨年の伊豆で開催された合宿研究会からスタートして約2年間、「ユビキタス」が社会の新しい基盤となり、我々の身近なテーマになりうるのか、という模索が部会の大きな課題であった。
そしてその姿や使い方がようやく身近なものとして捉えられるようになってきたのが今回の研究例会であったといえる。そのような意味で今回は人間工学やヒューマンインタフェースに関係するデザイナーや研究者にとって、今後の方向を考える上で大変刺激的で、良い機会になったといえる。
最近のテレビコマーシャルで、突然息子がふるさとの実家に帰ってきて、毎日会社に行かずに田舎のコンビニへ行って情報を取得して仕事をしている・・・といったユビキタス社会を先取りする内容のテレビコマーシャルが流れている。たしかに近い内にそのようになると感じさせられる魅力的な内容である。
しかし実際面で日本中(世界中)の"どこでも""いつでも""たれでも"自由に情報にアクセスできる(操作ができる)ようにするためには、分野やメーカーを越えた操作作法の共通化をするか、携帯端末等を用いたシステムに依存しないパーソナライズできるユーザインタフェーのしくみを提供するか等の課題をクリアする必要があるであろう。いずれにしてもユビキタス環境のユーザインタフェースを実現するためには、そのデザイン・開発のプロセスや組織を根本から考え直す必要がありそうである。
つまり今までのような分野単位、メーカー単位のユーザインタフェースの取り組みではなく、「機能は製造者が決定するのではなく、個々の人間の生活環境が決定する、タスクの設計から生活の設計へ」(上記、森先生のプレゼンより) に述べられているように、今後のユビキタス環境におけるユーザビリティーを達成するためには分野やメーカーを越えたデザイン・開発が必要であり、それをどのように進めてゆくべきか、我々の今後の大きなテーマとなるのではないかと4名の先生の問題提起から感じた。
2日目の最後にユーアイズノーバスの鱗原さんからも「ユーザビリティ推進のためのNPO」構想の説明もありましたが、来年度の合宿研究例会では、このあたりの具体案を皆さんで持ち寄り、検討しアーゴデザイン部会として世の中に提案でるものができるとよいかと思います。ではよろしくおねがいいたします。


まとめ  尾上晏義



問題提起

初めに以下の4講師によりそれぞれの観点からのユビキタスとユーザビリティーについての現状と問題提起を行っていただき、その後のグループディスカッションへつなげていただいた。


1. ユビキタス時代の新しいヒューマンインタフェース
     問題提起講師:武蔵工業大学 教授 森 博彦
2. ユビキタス時代の人と社会システムのあり方
     問題提起講師:小樽商科大学 教授 平沢 尚毅
3. ユビキタス時代のIT技術・・・ドキュメントを中心として
     問題提起講師:株式会社リコー 技師長 金崎 克巳
4. 人を見守り、人に寄り添うユビキタス情報技術--ユニバーサルデザインへの期待  
     問題提起講師:(独)産業技術総合研究所 坂上 勝彦        (PDF/407KB)



グループディスカッション

上記の問題提起をベースとして4グループに分けてグループディスカッションがおこなわれた。問題提起をお願いした各先生もそれぞれのグループに参加いただき熱心な討論が行われた。そのまとめ(後ろに掲載)を翌日発表して終了した。


Aグループ:
ユビキタス時代の新しいヒューマンインタフェース
   執筆者:斉藤聡介(ヒューマンファクター株式会社)
Bグループ:
ユビキタス時代の人とシステムの在り方
   執筆者:幾原武志(株式会社ホロンクリエイト)
Cグループ:
ユビキタス時代のドキュメント環境
   執筆者:白石光昭(小山工業高等専門学校)
Dグループ:
ユビキタス情報技術とユニバーサルデザイン
   執筆者:鞆幾也(株式会社ジー・テック・ノーバス)


アーゴデザイントップ



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