| ■アーゴデザイン部会例会「ATR研究所見学と講演会」報告
日時:1998年10月15日
場所:ATR研究所(国際電気通信基礎技術研究所)
今回の例会では部会テーマ「ユニバーサルデザイン」に関連して、ヒトにやさしいヒューマン・インタフェースの新しいかたちを模索するための見学と講演会を企画した。場所となるATR研究所(国際電気通信基礎技術研究所)は、関西文化学術研究都市の中心(京都府精華町)に位置し、通信やヒューマン・インタフェース関連の分野では世界最先端の研究を行なっている。
10月15日(金)午後、部会員に加えて人間工学会関西支部(後援)の会員そして学生など計21名が同研究所に集まった。はじめに研究所担当者による概要説明の後、土佐尚子研究員による「芸術とテクノロジー 〜新しい形の感性インパクト」というタイトルの講演が行なわれた。同氏は、感情や意識・無意識の情報を含むコミュニケーションをテーマに、芸術とテクノロジーの融合を目指した研究や作品制作で国際的に活躍している新進気鋭の研究者兼アーティストである。ヒトの話し方の調子から様々な喜怒哀楽の表情で反応するコンピュータ・グラフィックスのキャラクタ「MIC」や、コンピュータ内の仮想キャラクタと詩(うた)のやりとりをする「インタラクティブ・ポエム」など、音声処理機能やバーチャルリアリティ技術を駆使し感情や感性レベルでのコミュニケーションを試みたシステムが紹介された。講演に続く見学では、研究室において「あの世のロミオとジュリエット」と題するインタラクティブ・シアターのデモが行なわれた。バーチャルリアリティによる参加型映画であり、ヒトの発する台詞や動きにより映画のストーリーが展開していく(部会長がロミオ役として出演)。その他、映像や音楽を身体の動きにより変化させるイメージ空間の演出技術などのデモも行なわれた。
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| ▲被験者にセンサーを装着する土佐さん |
▲部会長がロミオ役 |
残念ながらスケジュールの関係で、講演や見学後の研究者とのディスカッションの時間はとれなかった。しかし、これまで部会で扱ってきたような理論的あるいは認知的レベルでのヒューマン・インタフェース・デザインと異なり、より直観的より感情的レベルでのコミュニケーションの研究成果を見ることができ、今後の研究の方向性に新たなヒントが与えられたと思われる。
なお、土佐尚子氏の研究内容等は以下のURLでも見ることができる。
http://www.mic.atr.co.jp/~tosa/
■活動成果 アーゴデザイン部会が行った活動の成果をご紹介します。
各スピーカーから寄せられた原稿をそのまま掲載します。PDF形式で掲載したものもありますが、ダウンロード等は下記事務局まで可否の確認をお願いします。
日本人間工学会アーゴデザイン部会事務局
〒222-0033
神奈川県横浜市港北区新横浜3-7-19鈴喜ビル4階
株式会社ホロンクリエイト内
Phone +81-45-475-3903
Fax +81-45-475-3904
Mail:ergo-design@hol-on.co.jp
郵便振替口座:00290-6-5220
銀行振込口座:みずほ銀行新横浜支店普通口座1379040
日本人間工学会アーゴデザイン部会 名義
●日本人間工学会第39回大会アーゴデザイン部会シンポジウム 慶応義塾大学
(1998年5月16日)
AV機器とユニバーサルデザイン
ソニー(株) 堀川美智子
●第51回定例研究会(1998年11月20日)トヨタ自動車(株)本社
プリウスデザインとアーゴノミックデザイン
トヨタ自動車(株)デザイン部 澤 正憲
●関東支部第28回大会(1998年12月12、13日)高崎経済大学
ユニバーサルデザインの実践にむけて
キヤノン(株)総合デザインセンター TDN実践活動メンバー 市吉浩行・門田俊彦
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●合宿例会・総会(1999年3月5、6日)神奈川大学保養所(箱根仙石原)
情報のユニバーサルデザイン −みんなに使いやすい情報・機器―
ユーディット(情報のユニバーサルデザイン研究所) 関根千佳
高齢者が使えるパソコン(グループディスカッション)
八木大彦
情報のユニバーサルデザイン(グループディスカッション)
リーダー : 上田義弘 レポート作成 : 尾上晏義
●日本人間工学会第40回大会 大同工業大学(1999年5月15日、16日)
アーゴデザイン部会企画シンポジウム
ユニバーサルデザイン(UD)の設計手法の構築 -設計一般原則
和歌山大学 山岡俊樹
ユニバーサルデザイン(UD)の設計手法の構築 -ユニバーサル商品(モノ)づくりの設計指針
松下電器産業(株) 松岡政治
ソフトウェアー関係のUDコンセプト、設計手法
ユーディット(情報のユニバーサルデザイン研究所) 関根千佳
シミュレーション手法のUDにおける活用
キヤノン(株) 門田俊彦
■活動報告書
1993年から1998年までの活動(研究報告)をまとめた報告書を実費でお頒けしています。 「Ergonomic
Design」19933〜98
A4判211ページ・発行:日本人間工学会・アーゴデザイン部会
頒価:5,000円 お申し込みは下記事務局まで
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日本人間工学会アーゴデザイン部会 名義 ■アーゴデザイン部会主催の講習会&事例/コンセプト発表会が盛大に
1999年7月2日に学士会館(東京文京区)で当部会の事業として行われ、60名に登る参加を得て盛大かつ成功裏に終了しました。堀野定雄部会長による「タスク分析の手法」をはじめ、ユニバーサルデザインを中心とした11組のスピーカーによる事例およびコンセプトの発表に、大きな関心が寄せられました。
□発表内容
《講習会》「タスク分析の手法」堀野定雄(神奈川大)
《事例/コンセプト発表》
1)発表者:田村 博 (田村ヒューマンインタフェース研究所)
発表内容:「Toward Information Society for Allの活動について」
1998年6月ギリシャのクレタ島エラクリオンという町で行われたToward Informationsociety for allというタイトルの国際科学フォーラム(ISF)について紹介した。
この会議の目的はユニバーサルデザインの研究計画を欧州共同体に提案することであり、事務局の後押しもあり、かなり有望な段階にある。これが採択された場合、当然日本との共同研究も視野にはいってくるわけで、日本側の体制の整備も必要になるし、企業としての対応も求められる。
2)発表者:榎原 毅 (神奈川大学)
発表内容:「文章作成作業と階層タスク分析 コンセプトモデルの構築」
代表的なUI設計ガイドライン・評価手法はユーザがエラーを犯さないように未然に問題点を抽出(=ユーザニーズ)する帰納的アプローチが主流である.しかしユーザが前進不能場面に陥ったときの支援指針に関してはほとんど言及されていない。そこでユーザビリティ評価活動に次の様な新パラダイム導入を提案した。@失敗例だけではなく、成功例に注目する、Aデザイナーモデルとユーザモデルは完全に一致しなくても良い、B適切な情報・資源を過不足なく用意する。そして、これらを実践応用した研究事例を紹介した。
3)発表者:山岡 俊樹 (和歌山大学)
発表内容:「ヒューマンデザインテクノロジーの概念」
ヒューマンデザインテクノロジーとはマーケティング・リサーチ、人間工学、認知科学、工業デザイン、ユーザビリティ工学、統計(多変量解析)などを統合化し、製品の企画からデザイン・設計、評価までのプロセスに対し、人間優先のモノ作りの観点から支援する技術である。従来、直感で頼っていたこのプロセスをできるだけ定量化の視点で見直し、人間中心の魅力ある製品作りを支援するのを趣旨としている。本会ではその方法論を紹介した。
4)発表者:酒井 正明 (河合塾トライデントデザイン専門学校)
発表内容:「仕様策定段階でのスケッチを活用した操作機能評価方法」
操作結果が具体的なもので得られる機器操作のユーザビリティは、想定ユーザタスクに適応した操作仕様に基づき開発されたかどうかに依存する。簡易張り付けラベル作成機"テプラ"を例に仕様策定段階で、ユーザが作成する可能性の高いラベルを予想してスケッチに描き、これら予想ラベル作成機能、フィードバック情報も同時にカードに書き込み、カードを操作フローに従い並べることにより、ユーザビリティを評価する方法を提案した。
5)発表者:古瀬 敏 (建設省建築研究所)
発表内容:「ユニバーサルデザインとはなにか:再定義の試み」
できるかぎりすべての人のために、をめざすのがユニバーサルデザイン。一つで全員をカバーできるという主張はせず、場合によっては選択肢という概念を認める。また、バリアフリーとは異なって障害の存在を前提とせず、ふつうの(自分には問題がないと考えている)人にとってより「よいデザイン」をめざす。よいデザインが満たすべき6条件は、安全性、アクセシビリティ、使い勝手、価格妥当性、持続可能性、そして審美性である。
6)発表者:渡辺 進一朗 (明治生命フィナンシュアランス研究所)
発表内容:「高齢社会における製品・生活環境等のユニバーサル化に関する研究」/「製品開発時における評価基準」
高齢者を含む全生活者にとって安全かつ快適な製品・生活環境を実現するためのユニバーサルインタフェースのあり方を検討するため、ビデオ、CD/MD、パソコン等を操作する高齢者のメンタルモデルに関するユーザビリティテストを実施。テスト結果は、「ユーザビリティテストにおける操作遷移図」により定量的分析。認知プロセスについては、意図の形成、入力の選択・実行についてノーマン・モデルにより分析。
7)発表者:高柳 典子、野村 昌敏 (日本電気株式会社)
発表内容:「ユニバーサルデザインNEC/多摩美術大学産学共同事例紹介」
NECデザイン部門では、製品のあり方についての研究の一環として、多摩美術大学とユニバーサルデザインの共同研究を行っている。障害者の疑似体験を含むワークショップ、高齢者のオブザベーション、モックアップの作成、企業へのプレゼンテーションなどを通して、学生は社会に出る前にユニバーサルデザインの概念と応用方法を学ぶ。企業は学生をサポートしながら研究提案を受け、真にユーザフレンドリな商品開発へと役立てている。
8)発表者:門田 利彦 (キヤノン株式会社)
発表内容:「ユーザビリティ/アクセシビリティ動向から見たユニバーサルデザイン」
UDと共通する人間中心主義の思想を持つユーザビリティとアクセシビリティ関連の重要なISO規格やFCC等の法令の動向が注目されており、最近話題になるユーザビリティでは、テスティングを中心とするものとプロダクトの思想を対象とする考え方が見られる。
これからの商品開発には、対象とする物のユーザビリティやアクセシビリティのレベルとそれを使用するユーザの多様な特性との関連を明確にするプロセスが要求される。
9)発表者:西平 宗貴、中山 亮、田中 智士、疋田 晃康 (神奈川大学)
発表内容:「通産省報告に見る家庭内災害-ヒューマンエラーかシステムエラーか」
「人間工学演習」の授業で「通産省事故情報収集制度報告書」を教材に家庭内災害の原因・再発防止策を議論した結果、同書事故分析は改善措置不要・不能との判断が多くシステムエラー的視点に欠けると判った。筆者ら学生によるオーブントースター発火等の事故分析では、再発防止策として@誤使用防止設計A分かりやすい表示・取扱説明書B危険を自覚させる教育・訓練C多重事故対策が挙げられた。併せてcontext
of use を考慮した製品設計が事故低減に有効と思われる。
10)発表者:岩月 龍男 (株式会社イトーキ)
発表内容:「オフィスチェアにおけるオリジナリティとは」
オフィスチェアは、オフィス周辺との美観的な調和が求められる為、突出したデザインは受け入れられにくく、ために市場への大量販売を指向するとデザインの相似を生み易い。このことは、新規オフィスチェアの開発をする際、構造とデザインとが膠着した状態のまま安易に発想・製品作りをする傾向を助長している。プロダクトとして独自性のあるオフィスチェアを求めるには、構造面での創造行為を含めたデザインの発意が不可欠である。
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なお、当日配布された論文集を実費でお頒けします。ご希望の方は下記までE-mailでご請求ください。振り込み確認後お届け致します。
頒価:2,000円(送料共) |
●申込先および振込先
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日本人間工学会アーゴデザイン部会 名義
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